「90年代においては、デフレ、不良債権、構造調整の3つが負の相互補完性を持って影響しあっていた」が、今、3つの課題の相互関係がプラス方向に作用し始めていると小峰さんはいう。
日本の経済・社会の構造変動を直視して、時代が要請する構造改革をやる。今よくいわれる貧富の格差が発生した、その為の政策は別途用意する。
日本型システムといっても雇用も企業経営も、金融もいろいろあるが、それがまさに相互補完性をもって成り立って今日まできており、それが、グローバリゼーション、少子高齢化をはじめとする構造変化に対して、結合しているがゆえにドミノ倒し的になる、ということをよく示してくれている。
政治における「構造改革」について、「社会や経済がどんどん構造変化している。それをとらえよ」といい続けてきた私としては、本書の冷静な分析はきわめて有意義であった。