「少子化と財政難を克服する条件」「成長なくして幸福なし」と副題にある。デフレ不況問題、財政難問題、国の債務残高問題、少子化問題の四重苦。それに今、未曾有の大震災・原発事故が加わった日本――。四重苦はしかも、1つを解決しようとすると他が悪化するという矛盾対立が絡み合う。
「政治主導とムダの削減で成長?」「失われた20年の要因――生産性低迷説・行財政改革不徹底説・消費飽和説・民間の資金需要減退説・バランスシート不況説・不良債権処理の遅れ・日銀真犯人説?」など、あらゆる論点を鋭く分析する。そのなかで、プラザ合意以来の円高の桎梏について強調しているのが目立つ。
「一 時的な国債の増発をともなう財政の拡大と金融の量的緩和で一定の成長軌道を確立する。タイミングをはかり、消費税を引き上げて税収基盤を整え、国債依存を 減らしていく。その間、拡大した財政基盤のなかから積極的な未来への投資を展開していく。そうすることで、債務残高問題を本質的に悪化させることなくデフ レ不況と財政難を克服し、少子化を緩和して、将来への希望を確かなものにしていく」ことを例証をあげつつ提示する。