英国のEU離脱、トランプ米大統領誕生・・・・・・。その激震の背景に世界に広がるポピュリズムの台頭がある。その定義は「政党や議会を迂回して有権者に直接訴えかける政治手法」と「人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」の二つがあるとする。
反エリート、エスタブリッシュメント・既得権益への反発と断罪、代議制民主主義の機能不全と草の根の人々の意思の実現、権力分立・抑制・均衡の立憲主義原則の軽視・・・・・・。そして外国人流入への強い警戒感、反移民・反難民、反イスラム、排外主義、置き去りにされた人々への共感、標的への攻撃、メディアの活用と人民への直接の訴え手法・・・・・・。世界に広がっている姿だが、反エリートということに加えて、富裕層というだけでなく、既存の制度による再分配によって保護された層を"特権層"と見なし、その"特権層"を引きずり下ろすことを訴えかけることから反移民・反イスラムが生まれてくる。
「21世紀の世界はあたかもポピュリズムの時代を迎えたかのようである・・・・・・。ポピュリズムとはデモクラシーに内在する矛盾を端的に示すものではないか。現代のデモクラシーは、自ら作り上げた袋小路に迷い込んでいるのではないか」という。たしかに「ポピュリズムは、デモクラシーの後を影のようについてくる」(マーガレット・カノヴァン)だ。「既成政党の求心力の弱まりと政党間政策距離の狭まり」「組織の時代の終焉と無党派層の増大」「エリート層と大衆の断絶」「グローバル化と格差の拡充、二極分化」など、ポピュリズム躍進の舞台は今、揃い始めているようだ。