技術の街道をゆく  畑村洋太郎著.jpg「技術」ということから「現地・現物・現人」の「3現」で各地を歩くと、日本の現在が見えてくる。先人の知恵・努力、技術者の苦境と弱点、日本の未来に技術の果たすべき役割と方向性――。技術という角度で、日本を見つめることの重要さを感ずる。政府も企業も官僚も。「現在の日本の苦境は、出来上がったものを手に入れることに慣れてしまった技術者自身の弱さに発している」「日本の技術者たちよ、道なき道をゆけ」という。

「技術は経営と切り離しては成り立たない。日本の製造業は良い物を作ることに心血を注いできたが、"良い物"というだけでは価値は生まれない」「『田老は巨大な防潮堤を作って津波と戦ったがうまくいかなかった』などの見当違いの記事が書かれるが、防潮堤は侵入してくる水の量をできる限り少なくし、住民が避難する時間をかせぐための構造物なのである」「"水をいなす"信玄堤の知恵」「明和の巨大津波と石垣島の津波石」「知識と行動を結びつける"行動回路"ができていない。日常的な訓練で、実際に体を動かして、自分の頭と体に"行動回路"を作る必要がある」「ダムと有田焼(磁器)」「"動かす"ことと"止める"こと」「制御安全と本質安全」「GDPとオートバイ、イミテーションを抱き込むホンダ」「"良い物"とは、顧客が"欲しい物"と技術者が"作りたい物"の間の"どこか"にある。技術者はその"どこか"を見つける努力をしなければならない」「利益の源泉は"物の世界"から"価値の世界"に移っている」「考えを作る――思考展開法」・・・・・・。

技術者の声が日本では小さすぎる。もっと大きくなることだ。そして技術者の側も"作りたい物"の狭い枠や組織の駒から脱して、日本全体の問題を直視して進め。きわめて重要・重大な指摘を真正面から受け止めたい。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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