数学者でAIプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」を指揮する新井紀子さん、投資銀行家で経済評論家の山口正洋さんが語り合い、執筆した勢いのある書。AI時代に対して、人口減少・少子高齢社会に対して、どう国・地方・各人が戦略的に取り組むかを語る。新井さんは滋賀県米原市の再生・創生を、「ぐっちーさん」は岩手県紫波町のオガールプロジェクトを現実に進めてきているだけに、具体的で熱い。
「急降下する日本を軟着陸させるには」「子どもに"多様性"を体験させる」「地域一番校を復活させる」「女性が活躍できる基盤づくり――0歳児から保育園に入園できるように、シングルマザーを大戦力に」「若者たちに投資を――奨学金の返済問題を考えよう、リベラルアーツが必要」「地元に住んで小さなビジネスを起こす――地方債の問題、福岡・尾道の例、公園がビジネスチャンス」「50歳以上のオジサンが生きる道」「これからの日本はトラスト――信用・信頼して暮らす、シェアリング」・・・・・・。いずれも表層的ではなく、ニーズや社会実装性を踏まえて論じられている。
AI・ロボットの時代――。それは労働が希少ではなくなる時代であり、真面目で健康な人もある日、職を奪われる時代。社会の隅々まで金を流す人が細っていき、経済は死んでいく。あまりにもそのスピードが速くその難問の解決はきわめて難しい局面に遭遇する。つまり資本主義をAI時代は根底から揺さぶることになる。人間の総合的智力、エネルギーが重要となってくるが、とくに大企業型でなく個人の方が対応できる時代となっていくことに着目したい。