待望の「AI vs.教科書を読めない子どもたち」の続編。前著はAIの限界、AI時代の迷妄を打ち破るとともに、日本の教育の本質に迫る衝撃的著作だったが、本書は具体的、実践的で抜群に面白く、重要だ。「読解力が人生を左右する。とくにAI時代は」「『教育のための科学研究所』(新井紀子代表理事・所長主催)は日本全国の幼稚園・保育園・小学校・中学校・高等学校のホームページを無償で提供する」と覚悟を示す。
「AIが苦手とする読解力を人間が身につけるにはどうしたらいいのか」――。徹底して作り上げてきたRST(リーディングスキルテスト)を実際に示し、「係り受け解析」「照応解決」「同義文判定」「推論」「イメージ同定」「具体例同定」の6つの構成を提示する。RSTがいかに信頼性を獲得してきたか、努力には感服する。しかし、RSTはあくまで、視力検査と同様、「診断のツール」で達成度テストではない。そのうえで「読解力を培う授業」「意味がわかって読む子どもを育てるため」にどのようにしたらいいのか。実例を積み重ねながらの挑戦の課程が示される。
加えて本書には「体験版リーディングスキルテスト」が収録されている。やってみると「よく読む」という作業は結構、エネルギーを使うものだ。前著とともに面白く必読の書。