SDGsは、2015年の国連総会で全加盟国が合意し、採択された世界の進むべき「未来のかたち」。貧困、飢餓をなくし、健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど、経済・社会・環境にまたがる17の目標と169のターゲットがあり、2030年までの達成をめざす。「だれ一人取り残されない」ための目標を設定しているが、具体策は任されている。「従来型の、問題があって答えを導く問題集とは逆で、答え(目標)は書いてあるが、その答えを導くプロセスは書かれていない」「個別目標を達成するために押えておかねばならないチェックポイント、個別利益と全体利益との整合性をもたせるためのチェックリスト」「達成へ向けルールがなく、到達点だけが示されている」のがSDGsだ。全加盟国が合意し、今、全体に浸透していっているSDGsの意義はきわめて大きい。
「ポスト・コロナ」の"道しるべ"――。新型コロナの猛威のなかの世界。これによって失業、貧困、弱い立場の人への打撃、教育も経済も医療もダメージを受けている時、「だれ一人取り残されない」ためのSDGsが達成されていたら、影響は間違いなく緩和されていたはずだ。働き方や公共交通、GIGAスクール、デジタル化が進んでいればと思うが、だからこそ「ポスト・コロナの"道しるべ"」SDGs、「未来のかたち」SDGsということだ。
SDGsは従来の環境を重視した取り組みを「経済・社会・環境の統合」を実現させた。そして、企業にも「SDGsへの対応が企業価値を高める」「イノベーションの起爆剤となる」「"四方よし""中長期経営戦略""消費者意識の変化"などに対応する」という変化をもたらしている。自治体にも「SDGs未来都市への挑戦」「地方創生の方向性と戦略」「だれ一人取り残されない個性ある都市への志向」等々、取り組みの加速をもたらしている。
SDGsの第一人者である蟹江慶應大教授が解説する。