
近代米国資本主義の第一期(1870年?1929年)は、所得と富の集中が高まった時代であり、第二期(1947年?75年)は繁栄を広くみなで共有した時代、第三期(1980年?2010年) は、繁栄がまた富裕層に集中した時代。リーマン・ショックの激震をしのいだ今、その余震が始まったばかりである現実を直視し、第四期として、繁栄を幅広い 層で共有する時代をつくることだ。資本主義は富が集中する仕組まれたゲームであり、その暴走を止めなければならない。問題は、富裕層に富が集中している状 況を変え、中間層の購買力を増すことによって経済の好況を維持すること(米国人が自分の資力以上の生活をして不況がもたらされたのではない)。本書は大恐 慌に対してマリナー・エクルズがとった洞察に始まり、現在は中間層のための新しいニューディール政策が重要だとし、「給付つき税額控除(負の所得税)」 「炭素税」「富裕層の最高税率の引上げ」「失業対策よりも再雇用制度を」「教育バウチャーの発行」「メディアケア」などを提起する。あわせて、オバマ政権 とウォール街。政治とカネ、民衆の政治への怒り、などについて、現在のアメリカ政治と経済について率直な提言をしている。