
きわめて貴重な重要な本となっている。2005年にスタートした水害サミットの証言・提言集だ。被災地の首長さんが体験に基づいて「水害現場でできたこと、できなかったこと」を実践的に述べたことをまとめたもの。私も昨年の「第9回水害サミット」に参加した。
「災害時にトップがなすべきこと」「災害発生時の対応」「発災後における対応」「平常時の対策」等をまとめているが、集約すれば「序論 災害時にトップがなすべきこと 11項目」となる。
1.「命を守る」ということを最優先し、避難勧告を躊躇してはならない
2.判断の遅れは命取りになる。トップの決断を早くすること
3.人は逃げないものであることを知っておくこと(人を逃がすための工夫)
4.ボランティアセンターをすぐ立ち上げること
5.住民はトップを見ている。トップは住民の前に、マスコミの前に全力で働いている姿を見せること
6.住民の苦しみや悲しみを、トップはよく理解していることを伝えること
7.記者会見を毎日定時に行い、情報を出し続けること
8.大量のゴミ対策を
9.お金のことは後で何とかなる。やるべきことは全てやれ
10.視察は嫌がらずに受け入れること(現場を見た人は必ず味方になる)
11.応援・救援に来てくれた人に感謝の言葉を伝え続けること
避難勧告、指示など、「どう住民に危機を伝え、的確な指示を出せるか」ということで苦労してきた首長たちの珠玉の生の声、現場の声があふれている。良書。