
温かさがにじみ出る。庭の広い古い家に住む夫を若くして亡くしたテツコとギフ(義父)の暮らし。お人好しの面があるギフや彼氏。悲しみも静かに時間の経過とともに変化していく。「本当にあったことでも、いずれそれは記憶の中で、曖昧になってゆくだろう。本当かどうかなんて、どうでもいい気がした。そういう記憶をまといながら、どこへ行くのかわからないけど、オレはゆるやかに変化していくんだ。・・・・・・」「人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ」・・・・・・。
「動くことは生きること。生きることは動くこと。・・・・・・この世に、損も得もありません」「でも、たぶん、自分はおめおめと生きているのだ、と思った」「オレ、くたくたになるまで生きるわ」「オレたちってさ、生死を共にしてんだよなぁ」――。悲しみや深刻な場面にも、日常を非日常によって越えていく「親父の背中」「おじさんの哲学」のよう。