
「日本とは何であったか」「日本らしさとは何か」「日本とはどんな国であり、どんな国でありうるのか」「日本という国の不思議なあり方を浮彫りにする」・・・・・・。そこで天皇制というもっともユニークな日本の特色を語りながら、日本の国の形と文化を考える対談集。昭和49年の対談、しかも山崎正和さんはその時30代末。
その相手が「古代帝王 天智天皇(井上光貞)」「聖のみかど宇多天皇(竹内理三)」「猿楽を愛した後白河法皇(小西甚一)」「怨念の人 後醍醐天皇(芳賀幸四郎)」「東山文化の祖 後小松天皇(林屋辰三郎)」「乱世の調停者 正親町天皇(桑田忠親)」「学問専一 後水尾天皇(奈良本辰也)」「近代化の推進者 明治天皇(司馬遼太郎)」「激動に生きた 昭和天皇(高坂正堯)」「天皇及び天皇制の謎(小松左京)」という"目の眩む"ような10人。全て今は故人だが、対談はかみ合い、30代の山崎さんが時代の良識を結集する軸・要となっている。驚嘆する。
権力と権威との二元性。政治的権力とは別の文化的、宗教的権威としての天皇。各時代に距離の違いはあれ、その構造は貫かれ、今日に至っている。戦後70年の今、国の形と文化を考える必読の書だと思う。