
21世紀の全体主義――問題意識は同じだ。「思考停止」が「凡庸」な人々を生み出し、巨大な悪魔「全体主義」を生む。1951年、ハンナ・アーレントの「全体主義の起原」は「反ユダヤ主義」「帝国主義」「全体主義」の三部から成る。そして大衆の出現なくして全体主義は成立することはなかったと指摘する。フランクフルト学派、ホイジンガ、フロム、オルテガ等々、私の20代は大衆社会化状況のなかで全体の中への個の埋没現象、ファシズム論を学び、書き、語ったが、今はない。事態は逆にそこまで進んでいるといってよい。
藤井さんは、21世紀の「凡庸」という大罪、思考停止の病理を具体的に示す。「いじめ」「リセット願望」「俗情に結びつく構造改革」「米経済界を席巻した新自由主義」「グローバリズム全体主義」「大衆迎合的プロパガンダの横行」「全体主義的テロル」・・・・・・。そして、人間は人間である以上、思考停止してはならない責務があるという。