
全盛を誇った日本マクドナルドが苦戦していることを分析・レポートしている。マクドナルドを日本化しようとした藤田田氏(1971年~2003年)と、米国式経営を志向した原田泳幸氏の経営(2004年)だが、不思議にもほぼ同じような結果、一致をもたらしている――それを分析している。
1993年、バブル崩壊後の消費低迷で売り上げが急減したことに対し、ディスカウント路線と店舗拡大戦略で対応した藤田氏。ブランドイメージが低下したところにBSE問題(2001年)が追い討ちをかけた。米国式経営を持ち込み新商品をヒットさせた原田氏だが、商品の値頃感の失墜やほかの外食チェーンやコンビニに顧客を奪われていく。マクドナルドの経営理念(QSC+V)(品質Q、サービスS、清潔度C+お値打ち感V)、サービスのトライアングル(企業・従業員・顧客の満足、感動と満足の三角形)は現場の人間の努力があって成立するものだが、それが崩れてきた。また、イノベーションの不足もめだつと指摘する。
欧米人が19世紀から20世紀にかけて発明した最強の3つのビジネスモデル。百貨店、食品スーパー、FCシステムはいずれも、苦戦を強いられている。変化激しい社会、構造的な変化のなかで、定見を保持、鍛えつつ、短期的収益だけにとらわれない経営は至難のことだと思われるが、あらゆる組織が問われていることだ。真正面から問いかけられた思いだ。