
13,000年前から2300年前くらいの1万年以上も続いた縄文時代――。きれいな水と空気、大地から実をとり、狩りをする。食べ物も豊富にあって、天変地異が起こらず、他人と仲良く暮らすことを願った縄文人。人は、自然と対決では勿論なく、共生というよりも、自然に抱かれて生きてきたようだ。ゆったりとした時空のなかで、人は自然の声を聞き、人の心に敏感。本書には「泣く」「祈る」「人と自然との交流」が、文明の夾雑物を一切排除して描かれる。全ての過剰を除去したシンプル、原点、原風景の心持良さだ。
ライアの"ラ"は「五」を意味する。天・地・火・水・神。この世の全てを表わす。"イ"は「朗らか」、"ア"は「結ばれる」――。縄文時代のライアと、現代の大森桃子が結びついて主人公となる。縄文の魅力とロマンが感動的に流れ出る。
森沢明夫さんの「津軽百年食堂」「青森ドロップキッカーズ」に続く青森三部作。鈴木杏樹主演で映画化され、近く公開される。楽しみだ。