ゼロの激震.jpgすさまじい、壮絶。安生正「ゼロシリーズ(生存者ゼロ、ゼロの迎撃)」の最新作。最悪の危機は"観たくないから考えない"と甘い想定で思考停止に陥るものだが、あえて関東消滅の危機に迫る。

栃木県・金精峠で土砂崩れが発生し、足尾町で突然3000人もの町中の住民が謎の死を遂げ、続いて群馬県富岡市が火炎弾等で火の海となる。原因を探ると、マグマの上昇、南下の諸現象であることが判明、物理・土木の技術者・木龍に阻止の任務が下るが失敗する。怒りとも思える自然の力にはかなわない。文明の宿命、人類の無力・・・・・・。そして更にマグマは埼玉県秩父を大噴火による火砕流で飲み込み、新宿区や中野区を壊滅させ、東京全域へ。

東京壊滅をもたらしたこのカルデラ破局噴火。調査の結果、それを誘発したのは、今回新たに地下40kmに建設された東京湾浦安沖のマグマ熱を使った夢の東京湾第一発電所。その立坑に、対岸にある京葉第三発電所から発生する二酸化炭素を地下貯留させるよう結んだことにあるようだ。

技術者の誇りと死をもいとわぬ使命感。政治家の全うな責任と胆の決め方。「自然の怒りを前にして、お前にできることなどなにもない。災害から人々を救うのは技術者の仕事だ。お前ではない。俺だ」「東日本大震災で・・・・・・被爆の危険をものともせず瓦礫の撤去を行った者たちがいた。・・・・・・事故を起こした罪の意識に苛まれながらも、困難に立ち向かった職員たちの献身は、痛みの記憶以外の何物でもない」――。学び、考え、打ちのめされ、成長する。「技術者の誇りはどんな困難も乗り越える」――。現場の力、技術者の誇りと心意気が描かれる。それに"命"を見る政治家の胆が加わってはじめて日本の底力といえる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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