IoTとは何か坂村健著.jpgIoT時代が来る。IoT社会が始まっている。技術革新ということの段階を越えて、クローズではなくオープンに。それゆえに技術以外の社会的課題、安全を含めた哲学議論、法的な制度問題が、とくに日本の場合は立ちはだかっている。ドイツの「インダストリー4.0」、米国の「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」の志向するものも同じだが、経済成長の鍵・イノベーションで、日本が遅れをとるわけにはいかない。明確に新段階に突入したIoT社会、IoT時代に、それを引っ張ってきた坂村さんが、IoTの意味するもの、課題(とくに日本の)について述べつつ、総決起を促す書と感じた。それゆえ副題は「技術革新から社会革新へ」だ。

「イノベーションを起こすには、技術だけでなく、制度やものの考え方といった文系的な力もあわせ持つことが重要なのだ。粘り強く議論を続け、ゼロリスクの罠に陥らず、IoT社会に向けた大改革ができるかどうかが問われている。IoTを社会規模で実装して、全体としての高効率化や、安全性向上と個々の利便性の向上の両立という果実を得るのに必要なものは、技術や生産設備よりむしろそういう社会の強靭性だ」「技術的に見ればIoT化が産業機器や家電など、組込みシステムのネットワーク化、高度化の先にある未来にあることは確かだ。しかし、そこには、技術よりもむしろガバナンスチェンジという大きなステップアップが必要で、これについて日本ははなはだ心もとない。・・・・・・ガバナンスも"集中から分散に""クローズからオープンに"する必要があるということだ」「現在の日本は、社会基盤の老朽化やエネルギー危機、災害の脅威、医療体制の懸念、高齢化社会、食の脆弱化・・・・・・。オープンデータにより解決、もしくは緩和される課題は多い・・・・・・。しかし、今までの日本のICT戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている」。

ロボット、スマートウェルネスシティ、自動運転、ドローン、シェアリングエコノミー、電力自由化・・・・・・。個々がクローズされる中ではなく、あらゆるものが今、クローズからオープン、連携革命の新しい社会への新段階に突入しようとしている。その意識と意欲をもって挑めという。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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