世界に衝撃を与えた「英国のEU離脱」「米国のトランプ大統領誕生」――。背景には「難民・移民」と「格差拡大」がある。何が起きているのか、今後の世界はどうすればいいのか。日本は、英国は、米国は。前駐英大使の林景一氏が、生々しい欧州、英国の実情を報告、多くの示唆を与えてくれる。
「英国のEU離脱は、トランプ当選と同じようにグローバリゼーションに対する抵抗感が背景にあるし、社会格差が放置されていることに関して、支配層・エリートに対する反感・不満の表明という側面も共通している」「しかし、米国の孤立主義・保護主義にベクトルがあるのに対し、英国のEU離脱は、基本的にEUという国際組織の束縛から逃れることを主眼としており、英国の伝統と、大陸に隣接する島国であり、貿易立国であるという要因を受けて、孤立主義、保護主義という考えは持っていない」「EU統合の持つ本質、つまり異なった国家を結びつけるために、EUという外部権力が共通ルールを作って標準化するという規制体質への英国的保守主義からの抵抗というものが、大きな要素だ」「もし米国が今後内向きになり、孤立主義に向かうとすれば、日英は米国の利益が対外関与にあることに目を向けさせ、国際社会に引き戻すべく、日英協調でいくべきだ」「英国のしたたかさに学びつつ英国との連携が日本の国益だ」という。
「英国EU離脱の衝撃――でも英国は終わらない」「EU離脱の真実――優遇でも国民は不満」「EU離脱交渉の今後」「英国はEU離脱を恐れていない」「戦争をしないための世界秩序構築」「世界秩序激変で"日英同盟"のすすめ」――。「英国と欧州」を歴史的にも実態的にも掘り起こし、現今の世界情勢を俯瞰し、構造的に解き明かす。