蘇我の娘の古事記.jpg日本最古の歴史書である古事記(こじき、ふることぶみ)。和銅5年(712年)、稗田阿礼が誦習したものを太安万侶が編纂したといわれているが・・・・・・。そこに蘇我入鹿の娘・コダマがいたというのが本書の物語だ。

時は7世紀中期以降。一渡来人の恵尺の子として育てられた盲目の美しい娘・コダマとその兄ヤマドリの兄妹。コダマの出生の秘密は隠され続けるが、表に出ることを恐れつつ生きる。知った者によってそれは脅しに使われ、運命に翻弄される。

時代は中央集権国家建設への黎明期。王位をめぐって激しい親兄弟の殺戮の抗争が繰り広げられる。そこに百済、新羅、唐等の争いが加わる。当時、韓半島から渡来する者は多く、国中枢にも渡来人は重要な立場を占めていた。蘇我氏の専横を覆そうと中大兄皇子が蘇我入鹿を斬殺するクーデターを起こした乙巳の変(645年)、同胞意識のなか百済の再興をめざして唐・新羅連合軍と戦った白村江の戦い(663年)とその惨敗。天智天皇の死後、弟の大海人皇子が天智の子大友皇子を打ち破る壬申の乱(672年)、そして持統天皇へ・・・・・・。そのなかで、夫婦となったコダマとヤマドリはどう生きたか。激動の歴史のなかで貫いた愛と志、権力争覇に翻弄される人々。盲目でもあったコダマの心が見た日本の歴史と物語。変転常なき世のありさまと、哀しみ、いとおしさを語り継ぐ古事記(ふることぶみ)の背景と真実が心に浸み込んでくる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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