「『所有者不明化』と相続、空き家、制度のゆくえ」が副題。所有者不明の土地が全国で増加している。なんと日本の私有地の約20%、九州を上回る規模になっている。これまでは地方、農林業関係者の間で、過疎化・相続増加にともなって相続人把握の難しさが指摘されてきたが、今は震災復興や耕作放棄地、空き家対策で都市部も含めて顕著となっている。国として対策に乗り出し始めた段階だが、ことは人口減少・高齢社会と経済成長を前提とした土地制度との乖離という構造的問題だけに、政府あげての総合的取り組みが不可欠だ。いらない土地がふえている、ということだ。
「問題の根源――相続未登記の広がり(相続登記は義務でなく任意である)」「登記が行われた年が50年以上も前が19.8%も」「わずか192㎡の土地の相続人が150名にも」「全農地面積の約20%が相続未登記」「土地情報基盤の未整備(不動産登記簿、固定資産税台帳、農地台帳、国土利用計画法に基づく売買届出)」「地元を離れる不在地主の増加」「死亡者課税が200万人以上にも」「増える相続放棄の申し立て」・・・・・・。こうした現状には「地籍調査(現在52%)の遅れと原因」「不動産登記制度の限界」「強い所有権と"土地神話"の問題」「権利関係の調整難航」「費用や時間のかかり増し」があることが指摘される。
そして、解決の糸口として①相続登記のあり方②「受け皿」づくり③土地情報基盤のあり方――の3つの論点とその改善策が示される。