黙過.jpgきわめてパワフルな力作。ミステリー性も面白い。テーマはしっかりして、問題提起が読後も残る。臓器移植、積極的安楽死、動物の生命と人間の生命の差異、異種移植というこれからの重大問題・・・・・・。要するに生命倫理をどう考えるか、それをサスペンスとして人間の究極の愛と生命の問題として問いかける。

4篇と最後の一篇で成る。別々と思わせて4篇が最後の「究極の選択」に合流し、どんでん返しとなる。構成も刺激的だ。

第一篇の「優先順位」は臓器移植問題。意識不明の患者が病室から消えるという衝撃的な謎。次の「詐病」は厚労省事務次官が、"パーキンソン病"を演ずる。消極的安楽死ではなく、積極的安楽死問題が提起される。第三篇の「命の天秤」。舞台は感染対策をしっかりやっている養豚場。ところがある日突然、母豚の胎内から子豚が消えてしまう。動物愛護団体と種による命の選別問題。そして次は「不正疑惑」。真面目な学術調査官が「人間として赦されないことでした」として自殺に至る謎。そして最後の「究極の選択」。「異種移植は人類史上、最も罪深く、最も希望を孕んだ医療だろう」「命の倫理とは一体何だろう」と、真実の追求は、生命倫理、医学、家族愛等々の根源的問題へと収斂していく。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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