西郷隆盛.jpg西郷隆盛については、あまたの研究があり、語り尽くされている。家近さんにも大著がある。本書はそのうえで、素朴な「なぜ」を「西郷自身の人物」「周りの人々」「時代」等から突きつけて迫る。「なぜ辺境ともいえる薩摩か」「薩摩藩内の真の主役は誰か」「なぜ西郷が"図抜けた存在"になったか」「なぜ大久保と確執をもち、なぜ自滅したか」等だ。

西郷の評価は、「小さなことには拘泥しない泰然自若、清濁あわせもつ大人物」と定まっている感がある。しかし、そのイメージとは落差があるという。「誠実・無私・情義に篤い胆のすわった人物」は間違いないが、「繊細かつ律儀」「都会的でエレガント」「人目をはばからず涙を流し、人の好き嫌も激しい」「神経が細やかでストレスに悩まされる」「相手との駆け引きを楽しむ」「結構用心深い」などだ。そして感受性や庶民との同苦は生来のものではあったが、「沖永良部への流島」が思慮深く、志操堅固な西郷に変身させたという。

そして西郷をめぐる7つの"謎"に迫る。「なぜ早い段階で自決しなかったのか」「なぜ商人肌の人物を嫌ったのか」「なぜ写真が残されていないのか」「なぜ無類の犬好きとなったのか」「なぜ徳川慶喜を過大評価したのか」「なぜ庄内藩に対して寛大な措置を講じたのか」「立憲制の導入や共和政治をどう考えていたか」――。

加えて「西郷に代わる存在となりえた人物」「西郷の人格と周辺のライバルたち」などが、簡潔にまとめられているのは大変面白く、"西郷像"が浮き彫りにされる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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