デジタル・ポピュリズム.jpgネット社会の急進展は、社会も人間も変質させている。たしかに便利ではある。しかし、デジタルテクノロジーの進化はめざましく、私たちの生活に介入し、いつの間にか多くの個人情報が集積され、「世論は操作」され、「いいね!は悪用」され、「偽ニュースに誘導」され、危険にさらされるという。「イギリスのEU離脱」や「アメリカ大統領選」でも現実にそうした動きが顕わとなった。世論がより操作される時代になったのだ。「世の中のデジタル革命に対する用意が不足している」「ネット上のニュースで何が本当で何が偽ニュースであるのか、見分けるためのメディアリテラシーの教育が必要になってくる」「ここ数年(2014年のウクライナ危機)の異変に気付け」「個人データが収集されてビッグデータとして売られ、"換金化される"ネット資本主義が民主主義を、人と人との関係を変形させていることに注意せよ」「一番の防衛は無視することだが、簡単なことではない」・・・・・・。生々しい現実が報告され、「操作される世論と民主主義(本書の副題)」への警告が発せられる。

「ビッグデータは監視し、予測し、差別する」「データブローカーという新しい産業」「ソーシャルメディアから流出する膨大な個人データ」「ビッグデータとアルゴリズムを応用したデジタル資本主義のもとでは、顧客ごとの価格が設定される(定価がなくなる)」「IoTは監視機器でもある」「『心理分析』データを使った選挙広告キャンペーン」「迷っているスイングボーター有権者を取り込む戦略」「小グループへの個別広告(マイクロターゲット広告)」「背後にいる天才プログラマーの富豪(ロバート・マーサー)」「ソーシャルメディアは敵か、味方か」「ツイッターとボット」「ロシアのサイバー作戦が欧米のポピュリズムを扇動する」「IoTで高まるハッキングの脅威」「ポスト冷戦時代はサイバー戦争時代」「デジタル時代の民主主義と国民投票」「ネット利用者が一般化するなか、ネット社会には"異なる事実"が存在することを認識せよ」「厳しいドイツのヘイトスピーチ法」「拡散した流言飛語は人道危機に発展」・・・・・・。

「捏造され、誘導され、分断される」時代の危険性と脆弱性を真剣に考えなければならない。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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