建設現場も花火大会もアイドルの握手会でも、各々の施設でも、身辺を守ることでも、いまや警備員が支えている日本。その数9000社、54万人。しかし、4K(きつい、汚い、危険、くさい)の職場で給料も低く、高齢者も多い。人手不足だが、2020年東京オリパラなど、ますます必要性は増すが、万全の警備体制を整えることは簡単ではない。その警備業の歴史と課題、今後のAI・ロボット時代へと進むなかでの未来の姿を本書はあます所なく示す。
業務は「施設を守る――1号警備業務」「不特定多数の人や車両を誘導する――2号警備業務」「貴重品や危険物を運ぶ――3号警備業務」「身辺を守る――4号警備業務」となり、警備員となるには欠格要件をクリアし、プロとしての教育がされている。歴史をたどると、まさに昭和39年の東京オリンピックを中心とした高度経済成長の申し子的存在で、その頃に「ザ・ガードマン」が放映され、"用心棒的存在""隠居仕事の守衛さん"からの脱皮があり、「セコム」「ALSOK」の二強体制、機械警備が始まった。現場は二強ではあるが、9000社が示すように中小企業がほとんどだ。高齢者の雇用も日本全体にとって重要なことであるとともに、「労務単価の引上げ」「保険加入」「自家警備問題の解決に向けての徹底通知」など、私自身が行ってきた重要課題にも本書は丁寧に論及している。
「2020東京オリパラで拡大するのは人的警備の需要ではなく、ロボットやAIの需要だと予想される」「警備員という職業は残るが、ロボットやAIへの代替が進み、人的警備は縮小する。そこで重要なのは、どのような人的警備が残るのか、警備業務の専門性と警備員の専門性のどっちを優先するか」だと指摘する。