「平成30年間の政治」を問う貴重な作業。御厨・芹川両氏を中心として、そこに3人の語り手を加えた対談。ジェラルド・カーティス、大田弘子、蒲島郁夫の三氏だ。私の政治生活もまさに「平成30年間の政治現場」であったし、生々しい現場に1年生の時から身を置いた。本書の5人の方々にも知遇を得ることができた。
「災害の多い平成」「デフレに沈み、脱却にかけた平成」「政治改革、小選挙区比例代表制の欠陥が、自民党をはじめとする各政党(政治家)に及んだ平成」「国会、議員、官僚、官邸の変化(質)した平成」「情報社会、テレビ政治に翻弄される政治家とポピュラリズムが蔓延する平成」の政治であった。「俺は今、どこの党かと秘書に聞き」という川柳は、今も当てはまる政治でもある。「言論の府」「綸言汗のごとし」であるべき政治家の言葉が軽く、政治家の力と質の低下は顕著だと思うが、若い政治家は逆に軽やかで優秀だという側面をもつ。本書の指摘は、自らを省み、考えることも多かった。そうした諸々の観点を考えるとともに今後の日本への提起――「自然災害と地震の問題」「高齢化と少子化、人口減少の問題」、そして加えれば「AI・IoT・ロボットの急進度とそれによって生ずるデリケートな危うい社会、安全保障」「経済と財政問題」・・・・・・。「政治は人が成すもの」と思っている。