スマホ脳.jpg「うちでは、子供たちがデジタル機器を使う時間を制限している」とは、スティーブ・ジョブズの言葉だ。彼だけでなく、IT業界のトップは、わが子にデジタル・デバイスを与えないという。うつ、睡眠障害、記憶力・集中力の減退、学力低下、依存・・・・・・。最新の研究成果は、スマホの便利さに溺れているうちに脳が蝕まれていく恐るべき実態をあぶり出す。著者はスウェーデンの精神科医、世界的ベストセラーとなっているという。

デジタル化は脳には諸刃の剣。毎日何百、何千回もスマホをスワイプして脳を攻撃していたら、注意力は散漫、慢性化すると、その刺激に欲求を感ずるようになる。小さな情報のかけらや「いいね」を取り込もうとして、大きな情報の塊をうまく取り込めなくなる。デジタルの道具を賢く使うこと、デメリットもあることをよく理解してほしい。そして、睡眠、運動、他者との関わりの3つ。これが精神的な不調から身を守る3つの重要な要素だという。さらに人間がテクノロジーに順応するのではなくテクノロジーが私たちに順応するように開発せよ、偽情報を拡散しないようにしよう、と呼びかける。

「スマホは私たちの最新のドラッグである」――。周囲の環境を理解し、脳は新しい情報を探そうとするが、その脳内物質がドーパミン。ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えることだが、SNSは報酬中枢を煽る。日に何百回とドーパミンを散出させるスマホ、人は気になって仕方がない。集中力が落ちる。メモをとると情報を処理する必要があるので内容を吸収できるが、覚えなくてもパソコンに任せるとなると覚えるエネルギーが不要だから吸収できない。長期記憶を作るには「集中」という「固定化」と「睡眠」が必要だが、スマホによって「睡眠」が削られ、「集中と熟考」が疎外される。「周辺への無関心」も進む。「SNSが私たちの共感力を殺す徴候がいくつもある」「SNSが女子に自信を失わせる」「フェイクニュースの方が拡散する」という。

「バカになっていく子供たち」――「幼児には向かないタブレット学習(文字を書いて覚える。紙とペンで書くという運動能力を鍛え、感覚を身につけることが大切)」「若者はどんどん眠れなくなっている」「若者の精神不調が急増している」・・・・・・。「運動というスマートな対抗策」――「子供でも大人でも、運動がストレスを予防する」「少しの運動でも効果的」・・・・・・。

「デジタル社会が人間を注意散漫にしている」――「集中力」「記憶力」「共感力」が低下し、睡眠時間も減っている。「インターネットは深い思索を拡散してくれない。表面をかすめて次から次へと進んでいくだけだ。目新しい情報とドーパミン放出を永遠に求めて」「睡眠を優先し、身体を動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分をさらし、スマホの使用を制限すること。もっと多くの人が心の不調を予防することが解決策だと思っている」という。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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