51GgJRRB4UL__SX344_BO1,204,203,200_.jpg台湾の閣僚でデジタル担当政務委員。39歳。部門を超えて行政や政治のデジタル化を主導する役割を担い、マスクをはじめ新型コロナの封じ込めにも大きな役割を担った。自著としては初めて、しかも台湾と日本をオンラインで結んでディスカッションしながら作ったのが本書。

「デジタルはあくまでも道具にすぎず、その成否を握るカギは活用する側にある」と言うだけなら同類の本と同様だが、「デジタルは国境や権威というものを超えて、様々な人々の意見を広く集めることに優れている」「私たちの世代はデジタルネイティブではなくて"デジタル移民""デジタル先住民"。未来は生まれた時からインターネットがあった若者たちからやってくる。だから私も、デジタルネイティブの皆さんから学び、未来の方向性を指し示してほしいと願っている」という。それも静かに、なんら力むことなく。そして「人間がAIに使われるという心配は杞憂。AIはあくまで人間を補助するツール」「高齢者が使いにくいのなら、使いやすいように改良すればいい」「5Gについては都市からではなく、地方から先に進める」「高齢者、障がい者、ブルーカラーを支援する誰も置き去りにしないインクルージョンの力を確保するデジタル。"デジタルを学ばないと時代に遅れる"という態度は絶対にとらない」というのだ。

「AI推論とウィトゲンシュタインの哲学」「柄谷行人の『交換モデルX』」から影響を受けたことを語り、「デジタル空間とは、『未来のあらゆる可能性を考えるための実験所』ではないか」と言うのだ。そしてデジタル民主主義として「国と国民が双方向で議論できる環境を整える」「自分が何をしたいかではなく、人々が何を望んでいるかを考える」「For the peopleからWith the peopleへの転換」「閣僚になって『Join』という参加プラットフォームを開設。人々が語り合うために私が設計したプラットフォームは世界中の多くの政府で使われている」「このプラットフォームを介して、台湾では2019年にプラスチック製ストローが全面的に禁止となった」「小さな声をすくい上げて社会を前進させるためPDI(パブリック・デジタル・イノベーション・スペース)やPOを創設した」「現在の代議制民主主義は、私にとって原始的なシステムに見える。インターネットは間接民主主義の弱点を克服できる重要なツールとなり得る」という。

さらに「ソーシャル・イノベーション――一人も置き去りにしない社会変革を実現する」「マイノリティに属しているからこそ提案できることがある」「AIを使った社会問題の解決を競う"総統杯ハッカソン"」「都市と地方との教育格差を是正する『デジタル学習パートナー』」「デジタルに関する"スキル"よりも"素養"を重視する」「問題解決にAIを役立てる場合、プログラミング思考・アート思考・デジタル思考が必要で、そのベースとなるのが自発性・相互理解・共好という3つの素養だ」・・・・・・。

「デジタル化」「デジタル庁」について、オードリー・タンは具体的展開をすでに始め、リードしている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。元国土交通大臣、元水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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