世界一ポップな国際ニュースの授業.jpg昨年の中国でコロナ発生から約一年間、二人で対談した世界の政治。アメリカ、中国・韓国、ヨーロッパ、ロシアと中東、そして日本と、各章を立てる。無類の映画好きの二人から各国の各時代を映す作品の数々が捜入される。懐かしくもあり、また思想・哲学・クラシック・スポーツに若い頃から傾倒していた私の知らないことが山ほどある。軽妙で面白く、確かに世界情勢がよくわかる。

「アメリカ――自由の国の根幹はポップカルチャーにあり」――「アメリカンドリームというのは誰もが成功して金持ちになるチャンスという意味と、専制支配から逃れてきた人たちが二度と自由を奪われずにすむという意味がある」「そこに自由の女神や憲法がある」「ミドルクラスの崩壊がトランプを生んだ」「SNS時代の政治の言葉」など、どうしてもトランプ中心の対談となる。

「肥大するチャイニーズドリームと朝鮮半島の宿命」――「天安門事件後に中国を擁護した日本」「胡錦濤時代は経済官僚を中心とした体制で、政府が共産党より優位に立とうとしたが、人民解放軍に対する統制も弱まった」「習近平は党が軍を統制し、内乱を抑えようとする」「一帯一路は覇権拡大を目的といわれるがそれ以前に中国企業への経済対策」「中国の理念が国際社会を主導する世界をめざすナショナリズム」「金持ちになると海外移住する夢」「韓国併合の捉え方」・・・・・・。

「ヨーロッパ統合の理想は崖っぷち」――「統合して大きなマーケットつくったEU。通貨統合に反対していたクルーグマン」「東欧はもともとヨーロッパ。トルコは希望しているがやはりヨーロッパとは違う」「EUの意志決定(行政は2万人の官僚のいる欧州委員会)」「イギリス経済の大陸への依存度は高い」・・・・・・。

「ロシアと中東――第三次世界大戦のパンドラの匣」――「対外的に強圧的なプーチン政権はジョージア侵攻、クリミア併合、ウクライナ東部紛争へ」「勝てる交渉にしか臨まない男プーチン」「中国もロシアも優位でいられる地域で展開して一線を画す」「トランプのINF条約破棄がロシア核開発を進めるゴーサインを与えてしまった。国際政治の前提を揺るがした(新START条約が2021年に失効、核拡散の危機)」「イラン攻撃が大戦争の引き金に」「アサド政権そしてイラン・アメリカの協力の土台づくり、米露衝突は避ける」・・・・・・。

「日本――この世界でどう生きる」――「日本を特殊と思いたがる日本人」「"日本人は大丈夫"は危ない」「2つの相対化――ナショナリズムとか日本人という帰属集団からの相対化と自分自身の相対化がないと排他的論理になる」・・・・・・。

二人の話はよく噛み合っている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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