ヒグマとの戦い.jpg「私の叔父(北海道石狩郡当別村)が狩猟家であったので、私の家(札幌郡篠路村)へ訪れると、大きなガンやカモ、ウサギなどをおみやげに時々持ってきた。私はおとなになったら狩人になろうと思った」「徴兵検査がすみ、満21歳で狩猟免状を受けた」「私はついに、ヨローウシの出湯に魅せられて腰を据え、思う存分未開の林野内に鳥獣を追った」「私は、明治44年より今日に至るまでほとんど一生を、未開の森谷渓谷を探して、狩猟と釣りに費したようなもので、最早人生の終着駅にあり、気息奄奄たる老爺になってしまった。この本にあるものは、大正から昭和にかけての若き時代の思い出の昔話である」――。100年前の北海道の原野を縦横に駆け巡り、狩猟に釣り、温泉開発、鉱山発掘などフロンティアマンとして生き抜いてきた西村武重(1892年明治25年生まれ、1983年死去)が、1971年に上梓した代表作「ヒグマとの戦い――ある老狩人の手記」。養老牛温泉がある現在の中標津町が1916(大正5)年には2戸8名だったという。孫にあたる現町長・西村穣氏が「100年前の根室原野を駆け巡った祖父の冒険談の楽しさが伝わると幸いです」と語る。2021年7月5日文庫化。

とにかく凄まじい。開拓時代に最も恐ろしかったヒグマ。打ち続くヒグマとの死闘。戦って命を落とした若者。組みついてヒグマが若者を弾防けにして撃てない。急所をはずした時のヒグマの暴れる姿。そして極寒、豪雪、猛吹雪との命がけの戦い。一転して晴れるや自然の美しさと清浄なる空気、アイヌの酋長である榛幸太郎、滝を登る何百尾ものサケやマス、大ヤマベ釣り、ガンやキネズミ・キツネ狩り・・・・・・。

異次元の壮絶な開拓時代に体当たりされた思いだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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