病院で入院中の4人の子どもたちが死傷(2人死亡)する点滴死傷事件が起きる。点滴にインスリンが混入されたという。305号室は4人部屋。急性系球体腎炎で入院していた小南紗奈の母親・野々花が逮捕される。野々花はいったん犯行を自白するが、その後無罪を主張。人権派の有名な弁護士・貴島義郎が弁護を担当。その下にいた同期の桝田から若手弁護士の伊豆原は、弁護団に加わることを誘われる。調べを進めるうちに伊豆原は弁護の中心となっていく。
「野々花が無罪であると、100%信じているか。今の自分はまだ、野々花の周りにある霧を払い切れてない」「弁護人が100%信じていないなら、無罪判決など到底勝ち取れない」・・・・・・。そして検事から「もし万が一、冤罪が生まれるとするなら、それはほかでもない、君ら弁護人に100%その責がある。君ら弁護人だけが被告人を守る役目を促されているからだ」とまでいわれるのだ。
野々花と入院中の他の親との感情の衝突や、看護師の間での人間関係のもつれ、点滴にインスリンを混入される時間はあったのか。野々花は自分の娘を被害者とすることで自分が疑われることから逃れようとしたのか。野々花は検察が持ち出した代理ミュンヒハウゼン症候群なのか。警部補の尋問に強引さがあったのではないか・・・・・・。伊豆原は丁寧に丁寧に調べ続け、野々花の娘・由惟や紗奈にも暖かな目を注いでいく。そして霧をはらい、「無罪」を確信していくのだった。
事件の解明という表層の底で、弁護士はどう感情をつかみ、戦略を組み上げていくか。公判での弁護士の姿を扱う通常のドラマではなく、公判前手続などがいかに行われていくか。調査がいかに大変な作業か。弁護士の信念とゆらぎ、さらに生活にまでキメ細かく描いた法廷サスペンス。霧は濃霧を突き抜けて晴れるようだ。