mizunotuki.jpg幼い頃に両親が離婚、姉・百花は父親に、妹・千愛(ちあき)は母親にと、ずっと離れて暮らしてきた3つ違いの姉妹。テレビでのふとしたきっかけで千愛は姉・百花を見つけ手紙を書く。「母が、がんになり、すい臓がんのステージ4です」・・・・・。2人のメールの交信が始まる。全編メールで紡ぐ、愛のこもった家族の物語。

結婚して娘もいる千愛は、母の状況や自分の夫との感情のズレを、独身で一人暮らしの百花は、父親の状況や仕事の事を綴る。長い間別れて暮らしてきた親子が、メールを通じて心情を語り合っていく。メールであるからこそともいえよう。率直な家族それぞれの喜びや悲しみ、辛さ、その心奥が吐露されていく。家族とはやはりここまで結びついているんだなぁとの思いを深くする。逃れがたい「老い」と「病」を家族であるが故に「深き縁」として探り当てていく姿が、透明感をもってひしひしと伝わってくる。

「『どうして月は、ついてくるの?』  幼い私が訊いたら母さんは、『千愛のことが好きなんだね、月は』  そう答えてくれた」「月は何も言わずに見守ってくれるから」「母さんはいなくなったけど、母さんとの幸せな時間は私の中にあるし、変わることがない。生きている人よりも、ずっとそばにいてくれるみたいな気がする」「月も変わらない。見上げて昔のことを思い返したリ、少し話しかけたりしてる。すると孤独が癒されるの」・・・・・・。生老病死、人生、家族の絆、宇宙の中で生かされている人間存在の不思議さまでも感じさせる作品。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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