20110128-book.JPG「徹底討論」財政危機をどう乗り越えるか――と副題にあるが、もっと広範な討論となっている。財政の危機、税制、社会保障、そして政府の役割りまで論じら れている。共通の考え方であるゆえに、激論というより、論点の整理と、方向を提起している。そして竹中さんが、政府の中に入って仕事をしていただけに、た んなる学者の提起を越えている。

  短期的にはデフレ脱却、プライマリー・バランスの黒字化への進捗、それに金融政策。中長期的には、最も本質的な成長力を高める、日本の経済自体を強くする こと(法人税引下げ、とくに規制緩和)そして社会保障改革(鈴木亘さん)、労働市場改革(池田さん)。財政、財政学の土居さんを加えて、いわゆる論文では ないだけに、率直な語らいとなっている。


20110125-book.JPG  話題の小説。第5回ポプラ社小説大賞受賞作。生と死、死に直面して生は際立つ。とともに生きるということは人の交わり、人を愛するなかに鮮やかさを増す。 哀切かつ峻烈な「命」の物語と解説されているが、まさに実存的世界、ギリギリの異次元のなかで、ピュアな清流を感ずるのは若者の感性のゆえか。生と死・肉 体と生死・臓器移植とテーマはあまりにも重いが、ピュアさとゴツゴツした力みすら感ずる文体に若さの素晴らしさを感じた。


20110121-book.JPG 「年金・医療・介護・育児――借金日本で安心して暮らせるか?」がテーマだ。

  財政危機、そのなかで増大する社会保障費。一般会計の社会保障関係費は28兆を越えるが、大半は社会保険への投入費。それは料金のディスカウント費用にす ぎず、「純債務比率は低いから安心? などということはない」「菅総理のいう強い社会保障などというのはない。また"増税で強い社会保障"では成長しない。公債漬け、補助金漬けでは他産業は成 長しない」「過剰貯蓄の取り崩しでも成長はないし、副作用がある」「成長力を高めるのは、民間の技術革新が大切」「安易で無責任な中福祉・中負担」「北欧 諸国は少子高齢化が終了しつつあり、日本と比較できない」「名目3%、実質2%の政府目標はムリで、年金の想定値である賃金上昇率2.5%、実質成長率 0.8%、物価上昇1%はムリ」――。
  鈴木さんは、年金・医療・介護・育児等に具体的にふれつつ、強い社会保障ではなく安易な公費投入をやめて「身の丈に合った社会保障」を訴える。


20110118-book.JPG 「日本一美味い豚肉をつくりたい」「美味しくて安心な食を提供したい」「故郷・酒田への恩返し」――地域・現場から元気の陽光を発信する平田牧場グループの新田嘉一会長の人間哲学。

「平牧三元豚、平牧金華豚、日本初の完全無添加ハム・ソーセージの開発、生産と流通の一体化など、まさに血のにじむ苦闘によって今日を築き上げた新田会長は風雪を切り開いた妥協を許さぬ厳しさとともに、現場で懸命に生き抜く人と地域に暖かい。
  「仕事をやめようと思ったことはなかったが、首を吊ろうと考えたことは何度となくあった」「自分の力だけでここまで来たとはとても思えない」「どん底に落 ちた者だけが扉を開けられる」「政治家はどこまで行っても当事者ではない。ましてや官僚、役人も・・・・・・農業に、養豚に対して(つきつめれば)愛着も 未練もない。他に頼って農業を良くしようなどという考えは一切捨てることだ。自分の生きる道は自分で切り拓くしかない」「地方にいる者は、中央や大手企業 を頼らなくてもやっていける道を模索すべきである。どうせ、潰されるなら、自分の手で潰した方が気分がいいだろう」――吹雪に胸張りいざや征け、一人立つ 精神だ。


20110114-book.JPG 「草食系と肉食系というごまかし」から、この本は始まる。「勝ち組、負け組」も同じ。流行する言葉は、ある事実や状況を正確に表現するものではなく、リアルな現実、この場合は「社会、個人の欲望の進化」を覆い隠すために考案され流通したものだという。

 月1回の17扁の指摘は村上龍さんがとらえた社会や政治の事象、景色だが、その感性、如実知見の正視眼にうなずいた。
  欲望のない、楽しいことがないような若者の背景に逃げる中高年がいる。しかし若者は怒らないし、黙って、素直で、良い子(年齢はいっているのに)でいる。 ストレスを話をして解消するかと思うが、相手を気づかってはっきりモノは言わず、「ビミョー」で済ます。スキルも知識も鍛えられず、社会に放り出される若 者。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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