「徹底討論」財政危機をどう乗り越えるか――と副題にあるが、もっと広範な討論となっている。財政の危機、税制、社会保障、そして政府の役割りまで論じら れている。共通の考え方であるゆえに、激論というより、論点の整理と、方向を提起している。そして竹中さんが、政府の中に入って仕事をしていただけに、た んなる学者の提起を越えている。
短期的にはデフレ脱却、プライマリー・バランスの黒字化への進捗、それに金融政策。中長期的には、最も本質的な成長力を高める、日本の経済自体を強くする
こと(法人税引下げ、とくに規制緩和)そして社会保障改革(鈴木亘さん)、労働市場改革(池田さん)。財政、財政学の土居さんを加えて、いわゆる論文では
ないだけに、率直な語らいとなっている。