大暴落ガラ.jpg女性初の総理・三崎晧子が誕生したその時、荒川上流にかつてない豪雨が襲いかかる。まだ組閣すらできていない。与党が割れ、野党の支持もあって誕生した三崎内閣の内部に抱える脆弱性もある。ゼロメートル地帯、地下鉄・地下街の広がる東京を襲う大洪水、加えて東京外為市場で円が売られる国債の大暴落――"アラカワ・ショック"。

立ち向かう三崎総理、国交省の関東地整・荒川下流河川事務所の里見所長ら。随所に不自然さや極端な善悪二分は気になるが、脆弱国土と脆弱社会・日本の危機管理を問いかける。


騎士団長殺し1.jpg騎士団長殺し2.jpg妻から別れ話を切り出された36歳の肖像画家の「私」が、東北・北海道をさ迷った後、友人の父親である著名な画家のもつ小田原郊外のアトリエで一人で暮らすことになる。そしてその屋根裏に隠されていた絵画「騎士団長殺し」を発見する。また谷を隔てた向かい側の山の豪邸に住む免色という男や、尾根続きの山にある家に住む中学生(秋川まりえ)とその叔母(笙子)との交流が始まるが、不可思議な出来事が次々起き始め巻き込まれていく。

「眼前に広がる現実と人間の意識が、深層から湧出した一部の表層であること」「人であることの中核を成すものは何か」を、肖像画をモチーフにイデアと称する騎士団長等や、アトリエ裏の雑木林で発見される不思議な穴(石室)などによってきわめて精妙に語っていく。この世界と異界、有無を越え有無に偏する生命実相、主体と客体とその依正不二の相、夢と現実との境界と交流・交差、意識とその深層の未那識・阿頼耶識・九識からの湧出、イデアと心中の善悪、人間変革の機縁等々を、切れ目なく描く。サスペンスと人間存在の哲学性と芸術・文化の絶妙なコラボレーションと洗練された緻密かつ甘美な描写に引き込まれる。難題への挑戦と深さにおいてドストエフスキーの世界を想起したが、重苦しくないのは善人たちの登場と、穏やかな結び、柔らかな曲線的表現であるがゆえか。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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