「文明史が語るエネルギーの未来」が副題だ。19世紀の頃は日本でも西欧でも木材が利用され国土は荒れ地となっていた。今、再生エネルギーが注目されているが、太陽光も風力もエネルギー効率は低く、生態系をかつてとは別の形で破壊するリスクもある。「各エネルギー源は、全てそれぞれ独自の大きな欠点・問題を抱えており、魔法の杖、救世主のスーパースターはどこにもない」「将来のエネルギーはベストミックスしかないが、それはベストというより、より最悪でない組み合わせでしかない」「進むべき案内板はエネルギー源の動的な多様化と省エネだ」という。
「再生可能エネルギーの世界史」を語ったあと、「第一の反革命――再生エネルギーは環境に悪い」「第二の反革命――シェールガス革命」「第三の反革命――"石油の世紀"の終焉」を指摘する。CO2削減効果の高い化石燃料利用技術、石炭火力の発電効率向上技術、コージェネレーションなどの技術革新の現状等にも言及する。さらに、「デンマークを見習え」「ドイツは時代を先取りしている」「グリーン・ニューディール政策」などの言説の"言い過ぎ""誤り"をも指摘する。あわせて、「日本の天然ガス輸入価格は世界一高い」とし、経済への影響の深刻さ等々を述べる。
エネルギーと環境に関しての「思い込み」「認知バイアス」を歴史と原理に基づいて剔抉している。