「若者の読書離れはほんとうか」
「小泉改革は格差を拡大したのか」
「連続する事件や事故に関係があるのか」
――ジニ係数とローレンツ曲線に始まり、完全失業率、非正規雇用、ワーキングプア、生活保護、ホームレスとネットカフェ難民、一人当たりGDPの意味を解析し、統計思考力を示している。
その背景には平均世帯人数が減少した。高齢者がふえた。高齢者の格差が著しい。景気の動向が影響している。
ホームレスやネットカフェ難民は数えられず、統計がかなりアバウト。だが、97年から5年位が増加している。小泉政権下で、平均給与は下がっているが、正社員は上がり、非正規は上がらない。
小泉改革と格差拡大の関連ははっきりしないが、格差社会そのものは幾多の要因からある(小泉以前から)。
「平均と分散」「正規分布とべき分布」「相関」「標準編差」「大数の法則」をわかりやすく説明し、さらにデータの利用を道案内してくれている。
じつに面白い本に出会った。
太田あきひろです。
バンクーバー・オリンピックも後半にさしかかっています。「なぜ韓国はスケートで強くなったか」――先日、日本のスポーツを推進してきた方々と話し合った際、韓国の躍進ぶりに話が及びました。
結論1――冬季用のナショナル・トレーニングセンターが充実した。キム・ヨナなどもいつでも練習できる環境にある。
結論2――韓国勢には体力がある。日本はどの競技でも技術は素晴らしいが、最後の勝負時に体力がないことが出てしまう。
こうした話になりました。メダルをすぐ求めてしまう日本社会ですが、基礎となる体力、基礎となるナショナル・トレーニングセンター(冬季用は日本にはない)がいかに大切かということです。スポーツの振興に頑張りたいと思っています。
勝負脳の林先生だ。最近はこうした本が多いが、細神経細胞のもつ本能、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つの本能と、2つのクセ「自己保存」「統一・一貫性」が脳のパフォーマンスを落とす原因にもなることを指摘している。とくに「A10(エーテン)神経群」はそのカギとなる。
北京オリンピックの北島など日本水泳を勝利に導くことに一役かった林先生。「ぶっちぎりの勝利」をめざさなければ勝てない。「そろそろゴールだ」と思った瞬間、脳の血流は落ち、「もうがんばらなくてよい」と脳は判断してしまう。アテネオリンピック100mのジャマイカのパウエルの金メダルを逃したことも分析されている。
「だいたいわかった」と思えば、脳は「これ以上考えなくてよい」と完結してしまう。
脳に悪い7つの習慣とは
(1)「興味がない」と物事を遠ざけることが多い
(2)「嫌い」「疲れた」とグチを言う
(3)言われたことをコツコツやる
(4)常に効率を考えている
(5)やりたくないのに、我慢して勉強する
(6)スポーツや絵などの趣味がない
(7)めったに人をほめない
――の7つだ。これをやめれば頭の働きは倍増するという。
放送と通信の融合が進んでいく社会にあって、日本にも欧米型のメディア・コングロマリットが形成される日が近いと、河内さんはいう。大胆な予測もあえて本書でしている。
ICT産業立国――2015年で今の95兆円から200兆円台に育てるのが我々の構想だ。
インターネット通信で結ばれたユビキタス社会を実現する基盤をつくる。次世代道路交通システム(ITS)、先端技術をもつ医療センターと全国の病院を結ぶE-医療システム、最適の給配電システムでエコ社会を実現するスマート・グリッド――新たな電波割り当てが必要だし、それは間違いなく動いていく。
その大きな流れのなかに、テレビ、新聞社、出版社、そして金融機関、商社、電機、通信大手など大企業が人材と資金を提供するグローバルな企業複合体が「日本型メディア・インテグレーター」だ。主要新聞社や通信社に蓄積された人材と機能と力――津波のような大きな変容を迫られながらも、その第一線の力の重要性自体は変わらない。
「次に来るメディアは何か」を米国の動向と、日本の現状をつぶさに見て、描いている。難題に取り組む大きな肺活量を感じた。