「政軍関係を考える」がメーンテーマ。何度も繰り返し述べられているのは、「政軍関係の概念」は「専門家集団である軍隊の国家機構の中における明確な位置付け、専門職としての軍隊と軍隊が守るべき国民との一体感、政治指導者と軍隊の指揮官の間の相互理解、政策決定過程における政治指導者と軍隊の指揮官の率直な意見交換、政治指導者による最終的な政策決定に対する軍隊の指揮官の徹底的な服従及び政策決定の過程と結果についての国民に対する説明責任――その全てを包含するダイナミックな相互関係」であり、「我が国においては、政治、自衛隊及び国民の三者の間で、この政軍関係の理解は著しく遅れている」ということだ。また民主主義国家における軍隊の在り方に関する4つの原則として「軍事専門性の追求」「政治目的と作戦目的の合致(そのための真摯な努力)」「政治決定に対する軍隊の絶対的な服従」「軍隊の政治的な中立性」をあげている。
こうしたテーマを米英、とくに米国の現在までの適切な政軍関係への葛藤と模索と構築課程を探り開示する。「何故、ジョージ・マーシャル元帥が米軍人から最も尊敬されているのか」「何故、ダグラス・マッカーサー元帥は米軍人から尊敬されていないのか」「湾岸戦争におけるコリン・パウエル統合参謀本部議長の判断は果たして正しかったか」「苦悩し続けたマイケル・マレン統合参謀本部議長は、何故、尊敬されているのか」を政軍関係から剔抉する。そして、民主主義国家日本が取り組むべき政軍関係の課題を提起している。