今度生まれたら.jpg「終わった人」「すぐ死ぬんだから」に続き、"人生100年"「長寿社会」であるがゆえに考えさせる本。「人生をやり直したい」「あの時、あっちの道を選んでいれば・・・・・・」というのは、人によって悔恨もあれば、ごく普通に感情を伴うことなく思うこともあろう。自分自身にとってみると「回り道は真っすぐ道」だったということだ。誰しもターニングポイントは何回かある。いい時も悪い時も人生には4回位あるというが、迷った時は積極策をとる。悔いのない方を選ぶことだろう。「我慢して人生を無駄にしちゃダメ。・・・・・・他人に気を遣って生き続けて、何が楽しい」「昭和40年代は野蛮な時代だった(結婚して当然。オールドミスなどという言葉が平然と社会で通った)」「時代の風潮に合わせすぎるな。それらはすぐに変わっていく」「人間は死ぬ日まで、何が起きるかわからない。とにかく楽しんで生きるためには、自分から動く。何かを始める」「自分に与えられた人生を元気に、弾んで歩いて行く。佐保子にとっても私にとっても"今度生まれたら"より今なのだ」と本書にある通りだ。「私自身が『年を召した方』になってみると、口当たりがよく『人間に年齢は関係ない』とは言い難い。ただし、たとえ70を過ぎても、一生の一部分を、また生活の一部分を、やり直すことはできる」という。老境に入って、体も頭も若いが、仕事はない、社会も必要としてくれない、結局趣味に生きるしかないのか・・・・・・。「俺の人生、私の人生とは何だったのか」は「今度生まれたら」と同じ位相にある。

主人公は70歳になった佐川夏江。老境の夫婦、そして息子たちの家庭と人生、姉夫婦やかつて職場の同僚であった人の人生を描く。70代以降の人生をどうするか、長寿社会ゆえの大変な問題を、軽妙にテンポよく、ズバっと描く。さすが内館牧子さんとうなってしまうほどだ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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