
しかし、現代人はそれを天与のものとし、国土をどうするか、国のグランド・デザインをどうするか、都市や街をどうつくるかということを忘れているかのようだ。そして、昨今は公共事業を目先だけの財政問題としてとらえている。
それにしても、こういう本がなぜ日本に少ないのだろう。なぜ日本の文化と伝統を学ぶ格好の国土学を、そしてそれを築いてきた日本人の知恵と努力と格闘を学ばないのだろう。
大石さんの博識と熱気と冷静・沈着さは学生時代から(同級生)いささかも変わらないが、各章それぞれ刺激的でうなずくばかりだ。できうれば続編を望みたいし、表や地図を入れてくれればよりあり難いと思う。
ぜひ一人でも多くの人に読んでほしい。