
民意が欲するところを番組にして、民意の欲する形で提示していると、醸成された空気から脱することができなくなり、政治的方向性がつくられてしまう。
「もっと他のことも扱ってほしい」「もっと落ち着いて論じさせてほしい」――我々政治の側からは映像の力を認識するからこそ、そうした気持ちが常にある。憲法論争というといつも「9条」、教育基本法論争というといつも「愛国心」。たしかに1時間の番組の討論ではそれ以外も含めて論じたらとても足りないし、深まらないし、どうしてもパフォーマンスになる。
星さんは、「メディアの立て直しが急務」というが、じつは、社会全体が、「面白さ」「深さ」「一体感」をどう育てるかという曲がり角に来ており、それほどテレビ、新聞の影響が大きい時を否応なく迎えている。