
しかし、それは今、「男性の職の不安定化」「戦後家族モデルの魅力が低下し、相当の努力を払ってまでして到達したいものでなくなった」
「欧米型平等モデル(夫婦がフルタイムで働き、経済的豊かさの中で、家事・育児を分担する)も、自己実現家族モデル(好きな相手と結婚し、好きな仕事をし、豊かに生活する)も、ともに魅力はあるが、実現可能性が不十分である(男女ともに職の不安定がある)」ことから迷走状態にある。家族に関しての閉塞感が出るゆえんだ。それは、本書第6章の「若者家族の空中分解」「勝ち組家族と勝ち負け先送り家族と負け組家族に分解」にも描かれる。
男女共同参画を進めても「勝ち、負け」は結婚を考えても出るし、「家族の絆を!」と叫んでもなんともならない社会全体の構造変化がある。最後に山田さんは、(1)若者の将来にわたる経済基盤の強化(2)社会制度から「漏れた」人々への支援プログラム(3)多元的で誰でも実現できる「家族モデル」の創造――を危機感をもって対策として訴える。