
株主のため、従業員のため、お客様のため、社会のため、国家のためで、金儲けのためなら会社をおもちゃのように売買したり、自由にしていいというのではない。国際競争力維持のために、この国は「人と技術」しかないのだから、科学・工学技術者の育成や、技術開発の基盤となる中小企業育成に十分な策を講ずべきだという。
「中間層に厚みを増す社会」という私の主張は、そうした面でも大切ということだ。改革力をつけるためには膿を全部吐きだし、身を切れ、とも。国際社会で勝つためには、借金経営の経営基盤の脆弱さを脱せよともいう。
経営者の感覚から「部分最適より全体最適を重視せよ」「日本人は手段を目的化する傾向があるから、仕事に命を賭けるな」「終身雇用、年功序列、成果主義への視点」「要は人づくりにある」「セーフティネットを設けた上での競争社会を」など、自らの苦闘のなかで培った哲学が示されている。