061207若者はなぜ3年で辞めるのか?.jpg「年功序列が奪う日本の未来」という副題がついている。3年で3割辞めるという新卒離職率、心の病をかかえる30代社員の急増、そしてニート、フリーター、非正規と正規社員。その正規社員の若者も恵まれてはいない。若い時の苦労は報われないし、ポストはこないし、給料もふえない。
無意識のうちに、昭和的価値観の「年功序列」のレールが今の日本にはある。しかし、現実にはそれが崩れている。この10年は急速だ。戻せるのか――そうではない。

年功序列は、組織が常に一定の成長をし、ポストがふえ、定期昇給が全ての人にあるようでなければ成り立たない。団塊の世代はそのなかで生き、勤続年数と基本給で決まる退職金も年金も多いからいいが、今の若者は下働きでキャリアも積めない。そして途中下車をする。

最近やっと成果主義がとられても従来の年功序列制度のレールの上に加えられた程度だ。年より功に少し重きが置かれるにすぎない。
大事なのは、レールに乗り続けても希望はない。レールに乗るだけで、何をやるかを志向しない日本人の意識革命、企業の側も成果主義を実現するには単線のサラリーマンでなく、キャリアの複線化を図ることだ。するとそこには当然、社内競争が始まり、今までの「何でもやります」とこなすだけの人間では人材とみなされなくなる。30代の心の病はそうした競争・不安・落胆、レールから放り出されることより生ずる。年長者ほど有利、派遣社員ほど便利、1999年の労働者派遣法の影響も出ている。新規採用の削減はおかしいと著者はいう。

若者を犠牲にするな。年功序列が若者の昇給を押え非正規社員をふやして使い捨てにしている。本書は若者の自立と自由な挑戦に頑張れコールを送っている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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