畏るべき昭和天皇.jpg昭和史、あの戦争における各時点での決断はいかように成されたのか。その核心が「統帥権」をもった昭和天皇の存在であることは間違いない。松本健一さんは、丹念に「語らない天皇」の語った言葉と周辺の人間の発言と行動を調べあげていく。細かく、しかも大きな潮の流れをつかむ力技で、くっきりと浮かび上がらせる論考だ。
立憲君主として「君臨すれども統治せず」の立場を欧州への旅以来もっていたという昭和天皇。戦争を回避することを思い、始めるときは終結を考えた昭和天皇。

田中首相に「辞表を出してはどうか」といい、近衛の自決に「近衛は弱いよ」といい、杉山参謀総長などの軍部の暴走に理知をもって迫る昭和天皇。ネーションを背負った北一輝に「若殿に兜(かぶと)とられて敗け戦」と2.26事件に際し、吐かせた「天皇の国家」を背負う昭和天皇。

ギリギリの決断のとき、「統帥権」を自分流に解釈・利用する周辺の群像のなかで、国家を背負い、存在そのものが国家であることを自然体ですっくと立つ「常なる心」「日本の心」昭和天皇を「畏るべき」という言葉で、松本健一さんは語る。これは、昭和史の核心でもある。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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