
そう思いつつ読み進んだ。読んでいるうちに、「ナショナル・アイデンティティの再構築」「ナショナル・アイデンティティ(日本とは何か)とは、軍事的な強さや経済的な豊かさで形成されるものではなく、わたしたちはこういう風土と歴史と文化のなかで生まれ死んでゆく、という自己意識において形成されるものだ」「各民族の文化的な固有性の再認識や、国家的な歴史の書き直しという動きとなっている」「グローバリズムによる世界各地の文化破壊に対する抵抗は、ナショナリズムではなく、パトリオティズム(祖国愛=郷土愛)によって成されようとしている」「どんなに近代化を進めても、現代化をしても、便利な文明を求めていても、国民の誇り、そして心の豊かさはその風土にある」
――まさに海岸に住んだ人々の生命のなかに営々としてパトリオティズムが形成され、そのためにも、海を取り戻すことが大事だということがわかる。