副題に「グーグルとメディア崩壊」とある。その通り。まさに大きくいえば人類が今、直面している社会の問題は、グーグル・ワールドと報道そして報道機関、 グーグル・ワールドと個人情報、さらに再考を余儀なくされるジョージ・オーウェルの「1984年」の社会――そうした問題だ。テレビ・新聞が消えるかどう か、という次元を越えた、社会の本質的問題が提起されており、そのなかでの報道再生問題だ。
河内さんは、前著「次に来るメディアは何か」をはじめとして、先行・主導するアメリカの現状とメディア状況を分析し、開示してくれる。今回は金平さんとの
共著だが、更に深く掘り下げてくれている。それはこの一年を見ても「グーグルが新聞救済に動く」「グーグルのプライバシー侵害事件」「アメリカにおける旧
来型メディアの衰退」「新聞社へ公的資金を投入すべきか」から、日本における直近の尖閣諸島における中国漁船衝突事件でのビデオ流出やウィキリークスの秘
密文書公開に至るまで、こうした世界がすさまじく動いているということでもある。日本として、動きながら考え、考えて動け――今が大事だと思う書だ。