この本は面白い。税のプロ中のプロ、大武さん。本当にわかっている人は、やさしく語れるものだ。企画立案と税務行政の両方を担当しただけに具体的だし、日 本の地域現場や世界を駆けめぐって仕事をしているだけに、「高齢社会」「グローバル化」「資源制約時代」の3つの構造変化にどう税制をつくり直すかという 意欲があり、根源的、本質的だ。「国家の大宗は租税なり」と言われるように、国家戦略的に税を考え、骨太に再建しなければならない。
「先進国の中で最悪の財政状況」「日本の個人金融資産は預貯金に偏っている」「個人貯蓄は赤字国債に吸いとられ、投資に回らず内需拡大にも回らない」「北
前船はなぜお腹がふくれるような形になったか」「日本は国民負担率38.9%をみても税の安い国、所得税も安い国(中堅所得者の所得税率が1番軽い国)」
「所得と経費の難しさ」「市民権課税と居住地国課税」「グローバル化のなかで法人税は重要」「消費税を増税して法人税減税を(世界同水準に)」「地方法人
税を廃止せよ」「消費税をなぜフランスは始めたか」「米の所得税額控除は生活保護がないから」「相続税を廃止し、遺産税に。高齢社会の現実を直視せよ」
――主張は明確だ。そして各税制の成り立ちから説き明かしてくれている。複式簿記の重要性の指摘も貫かれている。