「景気が悪いのになぜ円高か、それも超円高か」――誰しもそう思っている。それは日本のデフレによって生じたもの。デフレと超円高の負の効果が本格化 し、雇用を直撃し、国力を削ぎ落とす。日本はこれまで、こうした危機に原油価格が低落するなど、"神風"が吹いて救われた。しかし、今、新興国経済の好調 やエコカー、エコポイントなどが剥落すると、もうむき出しの危機だ。
「デフレを止めよ。円高は止まる」――それができるのは日銀だ。構造デフレ説
は誤りであり、単純な貨幣数量説でもない。デフレは貨幣的現象であり、「量的緩和」「マネタリー・ベースを増大させる」「インフレ目標レジームを採用させ
る」――それによるおだやかなインフレ予想の形成こそ大事だ。インフレ予想引き上げ効果は流れを変え、デフレ不況・超円高からの脱出の号砲となる。たんな
る宣言ではない。民間経済自体に信用を得られるだけの具体的、しかもブレなき政策遂行への信頼を政府・日銀が一丸となってやることだ。そのように岩田規久
男さんは、データを駆使し、繰り返し提示しているが、それはもう叫びだと感ずる。