「危険な原発はいらない」という京大原子炉実験所助教の小出さんの近著。東日本大震災の原発事故――外部からの送電も非常用発電機も使えない「ブラックア ウト」、「崩壊熱によるメルトダウン」「今も心配な高温・不安定な3号機など」「たまる汚染水」「水棺方式と水素爆発懸念のチグハグ」「放射能汚 染」......。次々と警鐘を鳴らす。
「"安全な被曝量"は存在しない」「しきい値はない」と小出さんはいう。「直線、しきい値なし」の
LNTモデルが示されているが、今から40年近く前から低線量被曝問題にかかわってきた私も、データの決定的欠落はあるにしろ、いまだに論争が続いている
こと自体、驚いているところだ。校庭や汚染された農地の再生問題は、この"しきい値"にかかわってくるが、農地ではセシウム137(半減期30年)の問題
が加わる。「原発のコストは安くない」「地球温暖化と温排水」「廃棄物処理問題」、とくに最後に原発を使って火力発電所を休ませているからと「原子力を全
部止めても電力は足りる」と主張している