時間的にも空間的にも、哲学的にも俯瞰して、寺島さんは、東日本大震災から世界の中の日本を考え、日本の創生を語る。語るというより、熱が感じられる。 小林秀雄は「現代人は鎌倉時代のなまくら女房ほども、無常ということがわかっていない」といったが、生老病死、死に直面しても、どうも「どういう反省」を し、「どうとらえるか」の意識変革すらない。それが日本創生の熱源とならなければならないのに......。そんな思いが本書からあふれ出ている。
「安易な絶望や希望はいらない。筋道を立てて深く考えること」「生命のつながりをどこまで認識できるか」「日本人の魂の基軸とは」「関東大震災に何を学ぶ
か」「被災地の現実を直視したうえで、大きな構想力をもて」「東北の産業創生(雇用)、太平洋側と日本海側をリンクさせアジアを見よ、首都機能を分散して
21世紀型の都市構想を」「原子力へのこだわりと新しいエネルギーベストミックス、原子力に向き合う3つの理由」――。寺島さんの肉声が聞こえてくる。