中年以後.jpg 99年 の本だが、「中年以後の人の心をずっと前から書きたいと考えていた。つまり青くない、幼稚ではない人の心を、である」――「ただ人間だけがいる――この世 には神も悪魔もいないことを知る頃」と題する冒頭のエッセイはこの文章から始まる。「若い頃の人間の思考は単反射である」「物の判断については大人にな れ」「他人のことはわかっていない、という自覚のある人は極めて少ない。......事情がわかると、簡単に、いい人だとか悪い人だとか言えなくなる」 「曖昧さに耐える」「いい年をして正義感だけでものごとを判断していたら、人間になり損ねる」とも。

 こんなエッセイが24も 詰まっている。「かつて自分を傷つける凶器だと感じた運命を、自分を育てる肥料だったとさえ認識できる強さを持つのが、中年以後である」「中年以後にしか 人生は熟さない」「正義など、素朴な人間の幸福の前では何ほどのことか、そう思えるのが中年というものだ」「醜いこと、惨めなこと、にも手応えのある人生 を見出せるのが中年だ」「権力追求病は、主に中年以後にかかる病気らしい。それも女性より男性の罹患率が高い」「中年を過ぎたら、私たちはいつもいつも失 うことに対して準備し続けていなければならないのだ」......。

 如 実知見、経験も深さもあり、哲学の背骨も感ずる。何か横にすわって日常の対話をしてくれているようだ。「若い時は自分の思い通りになることに快感がある。 しかし中年以後は自分程度の見方、予測、希望、などが裏切られることもある、と納得し、その成り行きに一種の快感を持つこともできるようになるのであ る」......。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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